点の取れる記述答案作成方法

 入試までおよそ半年。今までなかなか火がつかなかった受験生も、そろそろあせりだす時期です。今回は苦手意識を持つ受験生が多い、国語の「記述問題」の対処方法についてまとめてみました。

1. 記述問題は配点が高く、部分点をもらえるので、必ず答案を作る。

 最近の入試では、中学入試・高校入試・大学入試を問わず、記述問題が多くなりました。その中でも「筆者・作者の意図を踏まえてあなたの意見を書きなさい」という設問が目に付きます。ここで要求されていることは、「文章の内容を正確に読み取ること」と、「自分の意見をわかりやすく伝えること」の2点です。

 記述問題に対して苦手意識のある人は、最初からあきらめて手をつけないかも知れません。しかし記述問題は、10点とか15点とか高い配点がなされていることが多いので、何か書けば得点できる可能性があるのです。たとえば、日比谷高校の入試では記述問題のおよそ2割が空欄で、何らかの記述を行った答案のうち8割が部分点を得ているそうです。1点、2点が合否の分かれ目になると思えば、少しでも答案が書けるよう努力すべきです。

 ではどのようにして記述力をつけるか。

2. 文章の要約が最良のトレーニング

 まず、「筆者・作者の意図を踏まえて」ということですから、長文を短時間で正確に読み取れるようになることが必要です。特に論説や評論といった文章は、論理の流れを正確に読み取らなければなりません。そのためには文章全体を見通す視点が必要です。設問に関係する周辺だけを読んで問いに答えるような姿勢では、全体の趣旨を読み違える危険があります。

 いつも授業で行っている要約という作業は、この筆者の意図を正確につかむ練習をしているのです。いきなり全体の要約をすることは難しいので、まず段落ごとにまとめていく練習から始めてください。どんな長い文章でも最終的には二百字程度にまとめられるようになると、文章を読みながらポイントがつかめるようになります。 

3. 広くバランスのよい勉強が「自分の意見」を生み出す

 次に、「あなたの意見」を持たなければなりません。実はここが一番難しいところです。なぜなら、普段深く物事を考えない人が多いからです。「考える」とは、日常生活の中で目にしたり耳にしたりする社会現象に対して興味関心を持ち、そのことについて「調べ」考える、いうことです。したがって、「意見」を持つための前提として、課題について考える材料、つまり知識を持っていることが要求されています。

 皆さんが毎日行っている「勉強」は、この知識を身につける役目を果たしています。よく「勉強して何の役に立つの」という人がいますが、「考えるための材料を仕入れるため」というのがその答えです。ですから、広い視野で物事を考えるためには、理科も社会も幅広く勉強することが必要です。そのほか、「社会現象に対して興味関心」を持ち、新聞やテレビの報道番組などを見ることも当然大切です。

4. 答案を作成しつつ自分の意見をまとめておく

 「意見」は具体的な問題が提示されて初めて生まれてきます。入試の記述問題を解きながら考えを深め、自分の意見を作り上げましょう。

 最初、何から書いていいのかまったくわからないときは、模範解答を丸写しにしてもかまいません。「自分の意見」とは言え、完全にオリジナルな意見などほぼありません。誰かの主張に共感できれば、それを自分の意見としてしまえばいいのです。

さらに良いのは読書です。世の中には、いろいろなテーマに関する本があふれています。時間はかかりますが、設問に関係する本を探し、それらを参考にしながら答案を仕上げる、というのが理想でしょう。

 まずはマネから。誰かのうまい方法を自分のものにすること。それが勉強です。 

5. 相手が納得しやすいように話す順番を考える

 記述問題で要求されているのは、相手を説得するための技術です。ですから、一方的な意見の押し付けでは説得力に欠けます。自分の意見だけでなく、対立する意見にも目配りしつつ、それでも自分の意見が正当であることを主張しなければなりません。ですから幅広い知識とバランス感覚が大切です。

 具体的な論の進め方は授業の中で述べますが、一方的に自説を述べるだけでは相手の反発を買うことは、普段の生活の中でも実感できるでしょう。相手に「うん」といわせるためには、どんな順番で、どんな言葉を使うのが効果的かを考えなければなりません。普段からその意識を持ちながら生活すること。これが記述問題を克服する効果的な方法かも知れません。 

コメント: 0 (ディスカッションは終了しました。)
    まだコメントはありません。