発達段階に応じた学習がある。小学校低学年の場合。

勉強ができる子ども、あるいは勉強で困らない子どもに育ってほしいと思うのはどのご家庭でも同じでしょう。

しかし、教育に熱心なあまり、勉強嫌いな子どもや操り人形のような子どもを作り上げているケースも目にします。

子どもの成長を邪魔しないことが教育である、という自覚を持って子どもたちに接してみてはいかがでしょうか。

基礎学力=理解の枠組み

基礎学力が大事である、とはよく言われることですが、基礎学力とはいったいなんでしょうか。

当然成長の段階ごとにその内容は変化しますが、簡単に言えば、「理解の枠組み」といえるのではないでしょうか。つまり、人の話を聞いてわかる、ということです。

そして、自分がわかることとわからないことの区別がつき、その自分の考えや気持ちを相手に伝えることができる、という力があれば社会生活を営む上での基礎学力があるといえるのではないでしょうか。

そのための道具として語彙が必要ですし、その中には四則計算など数的処理の能力も含まれるでしょう。

あるいはそれ以前に、相手の話を最後まで静かに聞く、という態度も含まれるかも知れません。

いずれにせよ、音声であれ文字や数式であれ、他人とのコミュニケーションをとるためにそれらの道具を使いこなすことができる力を基礎学力と定義づけすることができそうです。

小学校低学年のうちに身につけるべき技術

学力を身につける際に最も重要なのは、学ぶための技術です。学ぶべき内容にはきりがなく、一生かかっても学びつくすということはありえません。しかし、一生学び続けるための技術は小学生のうちに身につけておくべきものです。

  • 記録のとり方:書写、ノートのとり方、ノートのまとめ方

記録の積み重ねこそ知恵の集積であり、人類を人類たらしめるものであるので、記録の保存整理こそが基礎的技術の最たるものでしょう。したがって、文字を正確に書き写し、書き写したものを見直すことができる。あるいは話を聞きながら文字に起こすことができる、という技術が最初の一歩です。

  • 語彙の獲得=記憶の方法:音読、反復、学習計画

記録をとっても、必要最小限のことは記憶しなければ使える知識とはいえません。学習とは極論すれば記憶することです。ひたすら声に出して覚えたり、何度も書いて覚えたり、と人それぞれ違う記憶のやり方があると思いますが、それを試行錯誤して、自分にあった記憶法を獲得しなければなりません。

漢字テストの準備をしたり、テストに備えて勉強したりするなど、記憶方法を確立するためのトレーニングと考えることもできます。

  • 四則計算

数の概念の理解は学力の基礎中の基礎です。特に九九をしっかり覚えることが最も重要です。

たとえば、速さや濃さなど割合の考えが苦手という人は、「Aに対するBの割合C」や「BはAのC倍」「Aを1としたときのBの割合C」などという表現と「B÷A=C」とが結びつかないようです。算数や数学が苦手というとき、たいていは「計算が苦手」ということであり、特に割り算の練習が不足しているために倍数をすぐに思い浮かべることができないことが根本的な原因であるように思います。そして倍数が思い出せないということは九九を良く覚えていないという原因にまでさかのぼることができます。

九九が苦手な子どもは「にじゅうしち」と「にじゅうし」など「しち」と「し」の言い間違いが多いようです。「四の段」や「七の段」が苦手なのも言いにくさが原因と思われます。いい間違いに気づかないまま覚えてしまうと修正するのに苦労します。

おとなにとって当たり前すぎると感じても、繰り上がりや繰り下がりのある加減算や九九は自然に覚えるものではなくしっかり意識して練習すべきものです。小学校低学年のうちに正しい九九の「口の動き」と「音」を体にしみこませておくべきです。

親が子どもの教育に関与できるのは小学生まで

子どもが何かをできるようになるにはトレーニングが必要です。その最初のトレーナーが親ではあるのですが、いつまでもトレーナーであり続けることはできません。せいぜい小学3年生まで。小学4年生からは教科の内容ではなく、時間管理とか学習環境を整える手助けをする位にとどめたほうが良いと思います。中学生になれば口を出すごとに反抗され、高校生にもなれば何を言っても無視されるでしょう。

その貴重なトレーナー時代になすべきことをあげてみます。

  • 読み聞かせ

小学校低学年のうちは読み聞かせが最も大切です。どの子も物語を聞くのが大好きです。学年が進んで本嫌いになるのは、読めない漢字が出てきたりして苦痛を感じることが多くなるからでしょう。その証拠に本は読まなくとも映画やテレビには飛びつきます。

そして読み聞かせは単なる娯楽というだけでなく、親の愛情を感じる貴重な機会でもあります。アメリカのある州の刑務所では更正プログラムに読み聞かせが組み込まれているそうです。おとなになってもお話を聞く喜びは変わらないのでしょう。子どものころに両親のひざの上でこんな体験をしていれば違った人生があったかもしれないと受刑者の一人は語っています。


  • おしゃべり

子どもは言葉を発するまでに周りの言葉を聞くことに多くの時間を費やしています。そしてある程度語彙が豊かになってきた段階で初めて言葉を発します。その貴重な機会を大切にしてください。相槌を打つだけで、子どもは次から次にと話かけてきます。知ったばかりの言葉を何度も口にするかもしれません。その言葉に耳を傾けているだけでも楽しくなるはずです。 

以上、小学生時代に身につけておくべき事柄をいくつか取り上げ、親としてどのように子どもに接したらいいのかを述べてみました。何かの参考にしていただければ幸いです。