模擬試験の活用法

9月から12月まで毎月模試が行われます。月によっては2回模擬試験を受けることもあるでしょう。何のために模擬試験を受け、どのようにすればそれを有効活用できるかをまとめておきます。

己を知り、目標を絞る。

その目的は、まず受験生の中で自分の順位を知り、目標を絞ることにあります。

模擬試験を受けると偏差値が出ます。これがその試験を受けた受験生全体の中での自分の位置をあらわしています。

偏差値50がちょうど真ん中の位置に当たりますが、同じ偏差値でも試験によってその意味は大きく違います。その試験を受けている受験生のレベルや人数が違うからです。

志望校が自分の実力よりもかなり上でも、努力しだいでそのギャップを克服できる可能性があったのは夏までの話です。

夏休みの学習を振り返ると、努力をするにしても時間的な限界があることがわかると思います。冷静に自分の実力を認めて、志望校を変更することも必要です。

ただし、模擬試験はあくまでも参考資料のひとつにしか過ぎませんから、1,2回の試験結果だけで判断してはいけません。

冷静に自分の実力を認めるということが重要であって、努力は最後までし続けなければなりません。 

努力をしたことがない人ほど、「死ぬ気でがんばります」などと勇ましいことをいいますが、限られた時間の中でどれくらいの学習ができ、どれくらいの成果を出せるか、という見積もりが立てられなければ、すでに結果が見えているのも同然です。

教科内容の理解度を測り、弱点を知る。

受験は総合力の勝負です。いかにマイナス要素を減らせるかが、勝敗をわけます。

得意分野についてはすでに十分な時間をかけて学習してきたはずです。

人間は切羽詰った状態にならないと、自分の嫌いなことをなかなかしようとしません。今まで避けてきた教科や分野の見直しを徹底しましょう。

これからは得意分野を伸ばすより、不得意な分野の基礎的な問題を確実に解けるようになることが、大幅な得点アップにつながるはずです。

そのために模擬試験を受けて、自分の弱点を知ることが必要になるのです。

合格可能性の見方

最初に言っておきたいことは、合格可能性を絶対視してはいけないということです。

それはあくまでも、その模擬試験を受けたときの成績であり、また実際に受験する学校の試験問題ではないからです。

入試問題には相性もあって、一般的な偏差値が高くても学校によっては自分にとって解きやすい問題が出される場合もあります。たとえ合格可能性が低くても、最後まであきらめないことが最も大切です。

試験直前の合格可能性が30%未満だった君たちの先輩が何人も、見事志望校に合格したことがそれを証明しています。

中学受験をする小学生の場合は、試験当日までのすごし方で大きく成績が伸びる可能性があります。模擬試験を受けるときの状態によっても成績が大きく変動するのです。1度や2度得点できなかったからといってあきらめることはありません。これまでに少しでも合格の可能性があると判定されていれば、自信を持って挑戦する価値はあります。

都立高校入試の場合は、内申がほぼ決まる時期です。残された期間は、本番で1点でも多く得点できる力をつけることに全力を傾けなければなりません。内申はもう上げようがありませんが、本番の得点はいくらでも上げることができます。Vもぎ、WもぎでC判定(40%以上)であれば努力しだいで十分合格の可能性はあります。

 私立高校入試は推薦制度を使うのが一般的ですので、ここでも内申が重要です。推薦基準が決まっているので、それに満たない場合はいくら望んでも推薦制度を利用することは不可能です。ただし、1~3ポイントぐらいは加点事由などが設定されている場合が多いので、あきらめる必要はありません。
私立高校への進学を希望する場合、推薦基準に満たないときは一般受験になります。その場合は、学校説明会や入学体験会などに積極的に参加してください。学校の先生に顔を覚えてもらうくらいになれば十分に熱意を伝えることができると思います。どうしても推薦基準に1~2ポイント足りないときは熱意が加点事由になるかもしれません。

弱点補強のペースメーカーにする。

試験が終わった直後から後悔する人がいますが、後悔ではなく見直しをしてください。

とにかく間違いなおしを徹底的に行います

まず、基本書(教科書)を調べながら解きます。調べきれないものは質問してください。

そして、次回の模擬試験までに間違いなおしを完璧にすることだけを考えてください。

入試が始まっても同じです。あまり先のことを考えすぎずに明らかになった弱点をひたすら修正し続けるのみです。

気がつけばよい結果が出ていた、と気づくはずです。