前回に引き続き、教育再生実行会議による提言を掲載します。
今回は第四次提言「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」です。
ここでは、大学入試の見直しが提言されており、「センター試験廃止」という話はこれが根拠になっているようです。
概要は、以下のとおりです。
1.高等学校教育の質の向上
2.大学の人材育成機能の強化
3.能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換・高等学校教育と大学教育の連携強化
「高等学校教育と大学教育の接続・大学入学者選抜の在り方について」(第四次提言)(平成25年10月31日)
1.高等学校教育の質の向上
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全ての生徒が身に付けるべき資質・能力の育成
- 国は、高等学校において身に付けるべき目標を明確化し、学校は、基礎的能力を確実に育成する。生徒が能動的に学び自己を確立できるよう、キャリア教育を充実する。
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生徒の多様性を踏まえた学校の特色化
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生徒の多様性を踏まえ、例えば、次のような特色化を推進する。
- グローバル・リーダーとなるための国際的素養と総合力を育成する学校
- 科学技術人材としての素養の育成を目指し、先進的な理数系教育を行う学校
- 産業構造の変化等に対応した専門的な知識・技能を育成する学校 など
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生徒の多様性を踏まえ、例えば、次のような特色化を推進する。
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学習成果や教育活動の把握・検証による教育の質の向上(達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の導入)
基礎的・共通的な学習の達成度を客観的に把握し、各学校における指導改善等に活かすための試験の仕組み(達成度テスト(基礎レベル))を創設する。同テストは高等学校在学中に複数回受験できる仕組みとすることを検討する。
2.大学の人材育成機能の強化
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大学は、その多様性を踏まえ、例えば、知識基盤社会やイノベーション創出を担う人材を養成するなど、教育機能の強化を図る。
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大学は、教育課程の点検・改善を行い、学習意欲を向上させるための教育内容や教育方法の改善に取り組むとともに、厳格な成績評価・卒業認定等を行っていく。
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学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法、双方向の授業展開など教育の質的転換を図る。また、個々の教育課程やその体系を徹底して公開することにより、教育内容や教育方法、成績評価基準等が外部からも見えるようにする。
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幅広い教養を身に付け、また、学習ニーズに応じて柔軟に学ぶことができるようにする観点から、大学入学後の進路変更が柔軟にできるようにする。
3.能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換・高等学校教育と大学教育の連携強化
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大学教育を受けるために必要な能力判定のための新たな試験(達成度テスト(発展レベル)(仮称))の導入
- 大学教育を受けるために必要な能力の判定のための新たな試験(達成度テスト(発展レベル))を導入し、各大学の判断で利用可能にする。試験として課す教科・科目をどうするかなどを考え合わせて、複数回挑戦を可能とすることを検討する。
- 達成度テスト(発展レベル)は、その結果をレベルに応じて段階的に示すことや、各大学において多面的な入学者選抜を実施する際の基礎資格として利用することを促進することなど、知識偏重の1点刻みの選抜から脱却できるよう利用の仕方を工夫する。
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多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換
- 大学入学者選抜は、各大学のアドミッションポリシー(入学者受入方針)に基づき、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定するものに転換する。大学は、養成する人材像を明確化するとともに、教育を再構築し、それを踏まえたアドミッションポリシーを具体化する。
- 各大学が求める学力水準の達成度の判定には、達成度テスト(発展レベル)の積極的な活用が図られるようにする。各大学が個別に行う学力検査については、知識偏重の試験にならないよう積極的に改善を図る。
- 各大学は、面接、論文、活動歴等の丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加を図る。
- 推薦入試やAO入試における基礎学力の判定に際しては、達成度テスト(基礎レベル)の結果の活用も可能とし、国は、各大学の判断による活用を促進する。
- 高等学校教育と大学教育の連携強化
- 大学及び高等学校は、教育目標や教育内容等についての相互理解を図るため、相互の協議、交流を促進する。
- 高校生を対象とした大学レベルの教育機会の提供(大学教員や社会人が高等学校に出向いて行う授業など)について、ICT等も活用しつつ推進する。
- 高等学校と大学の協力により大学入学前の準備教育を実施する。
- 短期大学、専門学校から4年制大学への編入学や専門高校から大学への進学の拡大を図る。高等学校専攻科修了者について、大学編入学への途を開く。
(参考)「達成度テスト(仮称)」に関する提言内容
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名称(仮称) 達成度テスト
- 目的
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- 高等学校教育の質の確保・向上、大学の人材育成機能の強化、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜への転換を図る改革を行う。その一環として、高等学校段階における学習の達成度を把握し、高等学校の指導改善や大学入学者選抜に活用する新たなテストとして導入
- 機能・大学入学者選抜での活用
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- 高等学校の基礎的・共通的な学習の達成度を客観的に把握し、学校における指導改善に活かす
- 推薦・AO入試における基礎学力の判定に際しての活用を促進
- 大学が求める学力水準の達成度の判定に積極的に活用
- 各大学で基礎資格としての利用を促進
- 利用する教科・科目や重点の置き方を柔軟にするなど弾力的な活用を促す
- 受験回数
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- 高等学校在学中に複数回受験できる仕組みとすることを検討
- 試験として課す教科・科目を勘案し、複数回挑戦を可能とすることを検討
- 試験内容等
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- 基礎的・共通的な教科・科目
- 知識・技能の活用力、思考力・判断力・表現力も含めた幅広い学力を把握し、指導改善につなげる
- 高等学校の単位及び卒業の認定や大学入学資格のための条件とはしないが、できるだけ多くの生徒が受験
- 大学教育に必要な能力の判定という観点から教科・科目や出題内容を検討
- 知識偏重の1点刻みの選抜にならないよう、試験結果はレベルに応じて段階別に表示
- 試験運営
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- 大学入試センター等が有するノウハウ、利点を活かしつつ、相互に連携して一体的に行う
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