これからの教育3・・・教育再生実行会議の第五次提言

少子・高齢化やグローバル化が進む中、日本が将来にわたって成長し発展を続け、一人一人の豊かな人生を実現していくためには、個人の可能性を最大限引き出すとともに、少子化を克服し、国力の源である人材の質と量を充実・確保していく必要があります。
 このような観点から、第五次提言では、義務教育及び無償教育の期間、学校段階間の連携、一貫教育や区切りの在り方、職業教育制度等の学制の在り方全般並びにこれらの改革に関連する教師の在り方や条件整備について提言がまとめられました。

1.新しい時代にふさわしい学制の構築

(1)質の高い幼児教育を保障するための無償教育、義務教育の期間の見直し

  • 幼稚園教育要領について小学校との接続を意識した見直しを行う。
  • 3~5歳児の幼児教育について、無償化を段階的に推進する。
  • 幼児教育の機会均等と質の向上、段階的無償化を進めた上で、次の段階の課題として5歳児の就学前教育について、より柔軟な新たな枠組みによる義務教育化を検討する。
  • フリースクールやインターナショナルスクール等の位置づけについて、就学義務や公費負担の在り方を含め検討する。夜間中学の設置を促進する。
  • 特に低所得者層を対象として高等学校等の就学支援策、大学の授業料減免や所得連動返還型奨学金等の支援策を一層推進する。専修学校についても就学支援に取り組む。

(2)小中一貫教育の制度化

  • 小中一貫教育学校(仮称)を制度化し、教育課程の区分の弾力的な設定など柔軟かつ効果的な教育を行うことができるようにする。
  • 一貫教育の成果と課題等を踏まえつつ、5-4-3、5-3-4、4-4-4等の新たな学校段階の区切りの在り方について引き続き検討する。

(3)実践的な職業教育を行う高等教育機関の制度化、高等教育機関における編入学等の柔軟化

  • 質の高い職業人の育成並びに専門高校卒業者の進学機会や社会人の学び直しの機会の拡大に資するため、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化する。
  • 大学への飛び入学の実態等も踏まえて高校の早期卒業を制度化するとともに、国際化に対応できるよう、大学及び大学院入学資格における12年又は16年の課程の修了要件を緩和する。

2.教員免許制度の改革及び教師の養成や採用、研修等の在り方の見直し

  • 教師が教科等の専門性に応じ複数の学校種で指導可能な教科ごとの免許状の創設や、複数学校種の免許状の取得促進のための要件見直しなどの改革を行う。
  • 採用前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じて教師の適性を厳格に評価する仕組み(教師インターン制度(仮称))の導入を検討する。
  • 教師が教育活動に専念できる事務体制の充実、スクールカウンセラー等の配置や活用のため、制度面・財政面の整備を行う。人材確保法の初心に立ち返った処遇を確保する。

3.教育を「未来への投資」として重視し、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える

  • 教育の質の向上や教育費負担の軽減等の教育政策について、「未来への投資」と位置付けて重視し、教育財源の確保に当たり、資源配分の重点を高齢者から子供・若者へ大胆な移行を図る。
  • 寄附の促進等による民間資金の活用等も含め、世代を超えて全ての人たちで子供・若者を支える安定的な教育財源を確保する取組を推進する。
  • 国、地方公共団体、産業界、教育界の代表等による「教育サミット(仮称)」を開催し、社会総がかりで子供・若者を支える意識や環境の醸成を図る。