成績上位層の受験生にも都立高校の人気が復活してきました。
中学生に限らず、小学生の皆さんにも高校入試の仕組みを知っていただき、高校入試までにどのような力を身につけておかなければならないかをお伝えします。
都立高校入試の全体像は次の通りです。
- 学校の成績が入試の一部として(総合点の3割から5割)使われます。
- 平成26年度入試で都立高校の募集定員は、東京都の公立中学3年生の54%にあたる42425人なので、ほぼ半数は学校を選ばなければ都立高校にいける計算になります。
- 東京都の場合、中学3年生の評定割合(生徒全体の中で5~1の評価を受ける割合)は5と4が4割弱、3が5割弱、2と1は2割未満という調査結果が東京都教育委員会から発表されています。したがって、内申(通知表の評価)でいうと平均4以上とっていなければ都立高校に行くことはきわめて難しいといえます。
- 高校に提出される成績は中学3年生の2学期あるいは後期の成績ですが、高校選びの段階での判断材料としては中学3年生の夏までの成績が使われます。
- 成績を評価する材料は、定期テストの成績だけでなく、小テストの成績、授業中の態度、提出物の有無など全般にわたり、テストの結果だけが良くても評価が上がるとは限りません。したがって、日ごろから正しい学習方法を身につけていなければ良い評価を得られません。
入試形態には推薦入試と一般入試があります。日比谷高校を例に取り上げます。
- 推薦に基づく選抜(推薦入試)900点満点
- 調査書(通知表の成績)450点:9教科の5段階評定(素点)
- 小論文150点:540~600字 50分
- 面接(個人面接+集団討論)300点
推薦入試では、面接(集団討論を含む)と小論文のみで合格が決まります。当然希望者が多く、その分競争も激しくなります。実のところ、推薦入試で入るより一般入試で入る可能性のほうが高いです。
- 都立高校の一般入試は、入試得点と調査書点を各校の比重に換算した合計の総合得点順に選抜されます。最近では入試得点に比重を置く学校が増え、学力重視の選抜になっています。
- 学力検査に基づく選抜(一般入試)・特別選考(募集定員の1割)
- 総合成績順位による(9割選考)
- 学力検査700点:国数英理社各100点、満点500点を700点に換算。
- 調査書300点:主要5教科の素点と実技4教科を1.3倍した値の合計51を300点に換算。
- 満点1000点:同点の場合学力検査点の高い者が上位。
- 特別選考:学力得点順位のみによる(1割選考)
- 総合成績順位では合格にいたらなかった受検者のうち、から、傾斜配点を加え学力検査得点だけで選抜する。
- 国・数・英3教科を2倍して得た、学力検査800点による。
- 検査教科
- 国語・数学・英語(リスニングを除く)は進学指導重点校共通問題。ただし、一部を自校作成問題に差し替える。
- 社会・理科・英語のリスニング問題は都立高校共通問題。
- 国語・数学・英語(リスニングを除く)は進学指導重点校共通問題。ただし、一部を自校作成問題に差し替える。
- 総合成績順位による(9割選考)
選抜に用いる資料や選抜方法について説明します。
- 調査書
- 3年次の9教科の評定を使用します。
- 学力テストの科目数が5教科か3教科によって点数化の方法が異なります。
- 学力テスト
- 5教科(国・数・英・社・理)または3教科(国・数・英)の学力テストが行われ、各教科100点満点です。普通科のほとんどの高校では5教科の学力テストがあります。
- 基本的に問題は都立高校共通ですが、国・数・英の3教科を独自の問題で学力テストを行う自校作成問題実施校もあります。
- コース制や専門学科高校などでは、傾斜配点を行う高校もあります。
- 高校独自の検査(面接・小論文・作文・適性検査)
- 一部の高校で実施されます。
- 実施する場合は、点数化して合計点に加えられます。
- 合否は、調査書・学力テスト・高校独自検査のすべてを点数化して合計し、高得点順に合格者を決定します。
- 学力検査と調査書の比率は7:3、6:4、5:5、4:6の中から各高校が定めています。
今回は都立高校の入試の仕組みについて述べましたが、私立高校に進学希望の人にも内申は重要です。それは、募集定員の半数は推薦制度で合格が決まり、その判定基準として内申が利用されるからです。都立・私立を問わず高校入試に内申(学校成績)が大きくかかわっていることは間違いありません。しかも、テストの成績だけでは決まらないという点に注意しなければならないのです。
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