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新中1生(中高一貫校生)、新高1生のこれからの学習

受験が終わると、皆ほっと一息ついて解放感に浸るものですが、あまり長いこと浸りすぎると新たな生活につまずく恐れもあります。

学校によっては入学までにやるべき課題を与えるところもありますので、そうのんびりもしていられないかも知れませんが、一息ついたら、新学期に向けて心の準備をしておきましょう。

中高一貫校や高校に進学する新中学1年生と新高校1年生にこれからの学習に対する心構えをアドバイスします。

努力の差がはっきり現れる

これまで学んできた公立の小学校や中学校では、学力に大きなばらつきがありました。しかし、今度は入学試験を突破した集団の中で学ぶわけですから、学力の差は今までよりずっと小さくなります。

これはチャンスでもあり、危機でもあります。

同じ学力レベルの人間が同じようなことをしている限り差はつきません。しかし、別の見方をすれば、努力の差が学力の差になって現れるとも言えます。


趣味嗜好には個人差がありますから、皆が皆まったく同じ分野で同じような努力をする必要はありませんが、自分が興味を持てるものにはとことん時間とエネルギーを費やしたほうが、皆さんの才能を開花させることができるでしょう。

それと同時に、これから否が応でも競争社会の中で生きていくことになるので、ほかの誰にも負けないアイテムを持っていれば、それがなんであれ、自分に自信を持つことができます。


ただひとつだけ注意してほしいのは、努力をしたからといって、それがすぐに報われるわけではないということです。努力しなければ何も得られないというだけです。

そして何かを得たいのであれば、それが実現するまで努力し続ける以外に方法はないと思います。

予習こそ学習の本質

勉強するとは、基本的に独学することです。しかし一人で学習するだけではどうしても解決できないことがたくさんあります。そのときのために学校があり、さらには塾があるのです。

したがって、理想を言えば、あらかじめ教科書をしっかりと読み込んで、授業を受ける段階ではすでに疑問を持っている状態であることが望ましいでしょう。

さりながら、疑問を抱くにはそれなりの学習が必要ですので、すべての科目についてそれを要求するのは現実的とはいえません。学校の授業ならば、せめて教科書にざっと目を通して、その日はどんな内容の授業をするのか位は把握しておくべきではないでしょうか。

重要さを増す英語学習(新中1生)

大学入試では今でも英語の比重は大変大きいものですが、これからは特に英語を「読む書く聞く話す」という4技能をバランスよく学んでいかなければなりません。

幸いインターネット上には無料で使える学習コンテンツが豊富にありますので、ネイティブの発音をまねして積極的に音読練習するなど、創意と工夫しだいで効果的な学習ができるはずです。

 

ただし、忘れてはならないのは教科書を使い倒すということです。

日常生活では使わない言語体系を身につけるには相当の時間と労力を必要とします。基本は記憶して真似をすることに尽きますから、あまりにも多くの教材は消化し切れません。したがって最低限覚えなければならないのが教科書です。

中学生は、英文→日本文(予習)、日本文→英文(復習)の書き換えができるようになったら、本文を暗誦します。

 

それと並行して、英語の構造をしっかり把握することが大切です。母語と違う言語体系を記憶するには、母語による理解が前提となります。そのために教科書以外に英文法の参考書もしくは問題集を用意して、なるべく早い段階で英語の全体構造を理解しておかなければなりません。

英単語力と国語力が命の英文読解力(新高1生)

大学入試では長文をいかに短時間で読みこなせるかが、今のところ必要とされる力です。長文を読み取れるか否かは、もちろん知っている英単語の数に影響されることは事実ですが、しかしそれだけではありません。

英文に限らず日本語で書かれた文章でさえ理解できない場合があるのは、よくあることです。つまり、仮に単語の意味がわかっても、そこで語られている問題意識や事象について理解できなければ、文章を読み取れたことにはならないのです。

逆に言えば、あらかじめ知っている内容であれば、多少知らない単語が出てきても前後関係からおおよその内容が推測でき、文章が理解できます。

いくら英語が重要とはいえ、英語にだけ時間を割くわけにもいかないならば、より多くのネタを仕入れるには、日本語による幅広い読書もまた有効な手段ということにもなります。本格的な読書をする時間もなかなか取れなければ、現代文や小論文対策用の参考書や問題集で各種の文章に触れることも立派な英語長文対策です。

 

英語学習の必須要件である教科書や副読本の全訳が終わったら、英文解釈の問題集で和訳をして文の構造を理解します。この段階では知らない単語を辞書で引きまくるのは当然です。

ちなみに、英単語や英熟語を単独で覚えるのはあまり効果的ではないと思います。しかしながら学校では定期的に小テストが行われたりするはずなので、それぐらいならばその機会に便乗して覚えるのも、まったくの無駄ではないでしょう。

数学の教科書と準拠問題集の問題はすべて解く(中高共通)

数学の場合、教科書を読むとは、じっと文章を眺めていることではありません。

教科書の例題は、まず自分で解いてみて、その後で解説を読む。間違っていたら、解説をよく読んで理解し、もう一度解いてみる。例題が終わったら、練習問題を解いて理解の程度を確かめる。当然必要に応じ例題解説を真似して図や表を描きながら問題を整理する。

したがって、数学の教科書を読むときは必ず紙と鉛筆が必要です。

教科書の問題が終われば、準拠問題集でさらに理解の定着を確かめる。

必要に応じて塾を活用する

主に英語と数学に関しての学習方法を書きましたが、これらの学習がすべてこなせるのならば、学校の成績を上げるために塾に通う必要はないでしょう。十分トップクラスの成績が取れるはずです。

しかし、上述したいずれかの段階でつまずくことがあれば、早めに塾に相談してつまずきの原因を取り除き、課題解決を図るべきです。